矯正と咬みあわせ

やや濃い変色には、クリニックで行う専門ホワイトニング。「矯正治療=歯並びの治療」と考えられている方が大半かと思いますが、実はそれだけではありません。
歯並びの改善とともに正しいかみ合わせにすることで、さまざまな不定愁訴(頭痛、肩こり、首の痛みなど)が改善するということがあります。

そのため矯正治療を美容目的で考えられている方と、噛み合わせ治療として医療目的で考えられている方では治療の進め方に違いがでてくるのです。

審美治療と矯正治療

歯並びを整えたいと考えている方に対しての治療方法は、矯正治療によって歯並びを整えていく治療方法と、歯を削る、抜くなどの処置を行ったあとにセラミック等を使った被せ歯で歯並びを整える審美的な治療方法の2種類があるのです。

審美治療

審美治療分かりやすい例だと、芸能人の八重歯が気づいたらなくなって、きれいな歯並びになっているのが、歯を削る・抜くなどして治療する審美治療です。

メリット

治療期間が数カ月であるため、人に気づかれず前に歯並びが整います。簡単かつ早期に治療が完了するため、他の人に気づかれずに治療できると点が最大のメリットといえます。

デメリット

歯を削る、抜くなどの処置が必要なため、治療後何年も経過するとその他残っている歯が弱くなっていまい、悪くなってしまう可能性があります。
とくに、若い方に歯の神経をとる、歯を大きく削るという処置を行うことは、20~30年後のリスクが大きくなります。

矯正治療

メリット

審美治療と異なり歯を削る等のダメージが少ないため、矯正治療後にご自身歯が矯正治療前よりも長持ちする可能性が高くなります。
また、全体矯正を行う場合においては審美治療と異なり、噛み合わせが悪くなる原因の一つである奥歯を正しい位置に誘導できるため、噛みあわせの改善につながり、不定愁訴の改善も期待できます。

デメリット

一般的なワイヤー矯正を選択すると、矯正していることが他人に気づかれてしまう、装置がお口に入るため違和感が大きい、治療期間が長くかかる等があります。

目先のことだけ考えると、審美治療の方が矯正治療よりもメリットが多いように思われる方もいるかもしれませんが、将来のことまで考慮するのであれば、審美治療よりも矯正治療ほうが得られるメリットは多いと考えられます。

噛み合わせは奥歯が重要

噛み合わせは奥歯が重要一般的な矯正治療は前歯きれいに並べるために、小臼歯を抜歯して前歯を奥にズラすことで歯並びを整えていました。
しかし近年では、この治療方法に懐疑的な意見もでてきています。

懐疑的な意見の理由としては、矯正治療をした後に不定愁訴が現れた、一見歯並びがきれい整っているがしっかりと噛むことができない、噛む位置がよくわからないといった不満や、治療後に大きく後戻りをしてしまうといった治療後のトラブルが増えてきているためです。

矯正治療においてこのようなトラブルや不満を耳にすることで、矯正治療に対して積極的になれない歯科医師も増えてきています。
従来では、「歯並びの悪い=歯と顎の大きさのバランスが悪い」といわれていましたが、実は、奥歯が前方や内側に傾き、前歯が不自然に並んでしまうことで歯並びが悪くなってしまっているのです。

目に見える範囲の歯並びではなく、歯並びが悪くなってしまった原因を突き止めなければ根本的な解決につながらないのです。
奥歯を正しい位置に並べることによって噛み合わせも改善され、歯並びもきれいに並べることが可能になるのです。

噛み合わせ不良が引き起こす症状

噛み合わせと不定愁訴

悪い噛み合わせが体に与える悪影響として、頭痛、肩こり、首の痛みなどの不定愁訴があると、テレビや雑誌などで取り上げられる回数も増えています。
こういった報道で、不定愁訴がひどい場合において、歯科医院で嚙み合わせの治療を希望される方も増加傾向にあります。

噛み合わせが原因になる不定愁訴として、筋肉系の問題(頭痛・肩こり・腰痛など)と自律神経系の問題(頸椎のねじれに由来する血管、神経などへの圧迫から生ずる、手足のしびれ・イライラ・生理痛など)の2つがあります。

生理痛の治療で歯科医院に通院するということは、中々イメージできないかもしれませんが、実際治療をしてみると噛み合わせの治療(矯正)をしてから重い生理痛がなくなったということを、多くの方が経験しています。
しかし噛み合わせと不定愁訴の関係には、不明な点も多いため、同じような噛み合わせの人に同様の治療をしたとしても、両者の治療結果に大きな差が出ることもあります。

噛み合わせと関係していることが予想される不定愁訴

治療前に「不定愁訴が100%治ります」と断言することはできませんが、噛み合わせのズレが健康に悪影響を与えることは、疑いようのない事実であり、今後とも噛み合わせの大切さがマスコミ等を通じて年々クローズアップされてくることが想定されます。
噛み合わせと関係していると考えられている不定愁訴には、頭痛・肩こり・耳鳴り・生理痛・生理不順・冷え性・手足のしびれ・腰痛・めまい・不眠症・鼻づまり・高血圧・イライラ・ぼんやりするなど多くがあります。

噛み合わせと体調不良の相関関係

噛み合わせと体調不良の相関関係来院される患者さんの中で、「私の噛み合わせのズレはひどいほうですか?」という質問をされる方がいらっしゃいます。
噛み合わせがどの程度ズレているかの判断は、一見しただけでわかることがほとんどです。

しかし、ズレの程度と不定愁訴の強さが必ずしも一致しない場合があります。
たとえば、噛み合わせのズレの程度が10点満点で3点くらいであるのにも関わらず、たいした不定愁訴を訴えない方もいれば、10点満点中5点で、とてもひどい不定愁訴を訴える方もいらっしゃるのです。

統計的には、噛み合わせのズレが大きければ大きいほど、不定愁訴のひどい人が多くなるですが、虫歯のように、虫歯の進行度合いに比例して痛みがひどくなるなどの絶対的な相関関係は、噛み合わせのズレと体調不良の間には見られないのが特徴です。
というのも、不定愁訴の原因は、噛みあわせのみではなく、筋肉の強さやストレス耐性も関係してくるためです。

したがって、噛み合わせの治療を行ったとしても、すべての不定愁訴が改善するということを治療前に約束することが難しいのです。

矯正治療途中の噛み合わせ

矯正治療で歯を動かす場合、矯正治療の初期段階では、いったん今の歯並びや噛み合わせを壊すため、理想とする歯並びや噛みあわせとは逆の方向に動くこともあります。
そういった場合では、本当にきれいに治療できるのかと不安を感じる患者さんも少なくありません。

矯正治療というものは、悪い歯並びや噛み合わせを維持しながら治療するのではなく、今までの噛み合わせをリセットしてから正しい噛み合わせを再構築していく治療のため、矯正治療初期の段階では右や左ばかりが当たる、歯と歯の間に隙間ができるといったことがありますが、あくまでも再構築の過程で起こることであるため心配する必要はありません。

矯正治療は時間をかけて正しい噛み合わせにしていく治療であるため、個人差はありますが、大体半年過ぎたあたりからきれいな歯並びに近づいていくのです。
したがって不定愁訴なども、矯正治療を始めたからといってすぐに改善されるわけではありません。ある程度の噛み合わせの土台が作られるための期間が必要になります。
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