ムシ歯や歯周病になると、歯や歯肉の色は変化し、形もくずれていきます。また最近若者に多い先天的変色歯や歯列不正も含めて、色・形の異常は形態美の問題としてとらえることができます。 さらに口腔内の病気が進行すると、局所の痛みや歯の動揺、喪失が起こります。こうして咬み合わせのバランスがくずれていきますが、咬合異常により次のような機能的問題を抱える人が増えています。 すなわち咬めない(咀嚼異常による)、話せない(発語異常)、笑えない(咀嚼筋が充分に機能しないために、表情筋も凝り固まって笑いにくい。歯が悪くて人に見られると恥ずかしい)などです。これらは機能美の問題としてとらえられます。
このように、機能異常があると、顎口腔機能不全症といって、しばしば顎関節やアゴを動かす筋肉(咀嚼筋)に痛みを生じ、アゴの開閉がスムーズにいかず、両側で噛めなくて片側噛みになったりします。
そして、アゴの関節のズレや左右の筋肉の発達のアンバランスなどから、顔のゆがみや姿勢のゆがみを起こすことがあります。また、頭痛・肩こりをはじめ、疲労や全身的症状として発現することもあります。
さらに美という観点から、心の健康を忘れることはできません。身体的に問題があるとき、多くの人は心の健康をも害しがちです。
そこで前に述べましたこれらの美に加え、心身に健康をもたらす心の美を考えてみましょう。
わかりやすい例として、表情を考えてみます。どんなに外面をとりつくろっても、内面に悩みを抱えていれば、真の美しさは発揮されません。悩んで暗い顔の人は、自己または他に対する否定的感情があり、これが精神の輝きを失わせているのです。
その反対に、明るく幸せな笑顔に輝き、真に美しい人とは、言いかえれば愛の想いにあふれた人です。健やかな心を取り戻し、その幸せの力で周りを幸せにしていこうという愛のエネルギーに満ちた心こそ、心の美と呼ぶにふさわしいでしょう。
このように、形態や機能が全身的健康ばかりか心にも影響するとき、心身の健康美の問題としてとらえられます。
時折私たちは、普遍的な愛、心の美そのものを、仏像やマリア像の微笑みにみますが、医療人としても愛ある仕事をしたいと考えています。 |