矯正ブログ

2021年8月13日 金曜日

矯正治療後の後戻り

矯正治療を経験した人から後戻りしたという話を聞いたことありませんか?

せっかく矯正をしてきれいな歯並びになったとしても、徐々に元の歯並びに戻るのであれば治療する意味がないのでは?と考える方も多いと思います。実際のところ、矯正治療後のわずかな後戻りは避けられないこともありますが、通常の後戻りは歯と歯の間に僅かな隙間ができる、下顎の前歯に僅かなデコボコができる、少し歯が捻じれてしまうといった程度の後戻りであり、治療前の歯並びに完全に戻るなどという、矯正治療をした意味がなくなってしまうような後戻りはありません。矯正したことが無意味になってしまうような大きな後戻りは対策をすることで防止することが可能です。そこで、後戻りの原因と対処法について解説します。

後戻りの原因
リテーナーの未使用
後戻りの原因の中で最も多い原因です。
リテーナーを使用しなければ必ず後戻りをしてしまいます。リテーナーが必要な理由と使用期間の目安などについて説明します。

リテーナーはなぜ必要なのか?
歯は骨と直接くっついているわけではありません。骨と歯根をつなぐ歯根膜という組織でつながっているのです。矯正をしている間は、周囲の骨が吸収したり、つくられたりしながら骨の上を歯根膜で引っ張られた歯が移動しているのです。

歯を動かしている間はこの歯根膜が伸び、歯と歯槽骨との隙間が拡がるために歯がグラグラした感じがします。そして矯正が終了し歯並びが綺麗に並んだばかりの時はまだこの状態が続いており、歯がグラグラして動きやすい状態になっているのです。

さらに歯肉の中には、歯周線維という矯正治療中に伸縮するゴムのような組織が歯の周りや歯と歯の間にあります。この線維はゴムのように元に戻ろうとする力が働くため、矯正装置を外したあと、リテーナーを使用していないと歯を治療前の状態に戻そうとしてしまうのです。

元の状態に戻ろうとする力を抑えながら、安定させるための装置がリテーナー(保定装置)なので、後戻りを防ぐためにはしっかり使用する必要があります。

リテーナーの使用期間
個人差はありますが、使用期間は骨が固まって、歯肉線維の緊張が取れるまでの期間です。

治療が適切でなかった場合
骨格的な問題が原因の不正咬合を無理に矯正のみで治療する、本来ならば抜歯しての矯正をするべきであるにもかかわらず、無理に非抜歯で矯正を行うなどした場合などは後戻りの原因となります。

限界を超えた骨格の捻じれを矯正治療単独で治療した
日常の習慣の積み重ねによって、ほとんどの方が何かしらの骨格の歪みを抱えています。多少の歪みならば歯で補正することで、問題なく治療可能ですが、極端な反対咬合や出っ歯を無理に治療をしようとすると、どうしても限界を超えて歯を傾斜させる、歯槽骨からはみ出して並べるといった並べ方をしないといけません。このような治療では安定性が悪くなってしまうため、後戻りの原因となるので、外科矯正を検討すべきです。

無理な非抜歯矯正
非抜歯で矯正治療をしようとする際には、歯列を側方に拡大することがあります。成長途中の子供の場合は骨の継ぎ目が閉じていないため、拡大することができるのですが、成長が終わっている大人の方の場合この継ぎ目が固まっているので、無理に拡大をしようとすると後戻りの原因になってしまいます。成人矯正で側方拡大をするのは、歯が内側に倒れている場合以外はお勧めできません。特に下顎歯列の拡大は後戻りの大きな原因になるので歯の乱れが大きい場合は無理に非抜歯矯正をすることは避けるべきと考えます。

治療後の成長
人の顔は成長するにつれて変化しますが、特に顔の下半分が長くなる事にをご存知ですか?
成長が終わる前に矯正治療が終了すると、その後の成長が後戻りの原因となることがあります。これは後戻りというよりは成長への適合といえるのかもしれません。歯並びとともに噛み合わせが正しくなった状態で治療が終了した後に身長が伸びると、下顎が前下方に成長していきます。歯が乗っている土台が成長するため、主に下の前歯が内側に倒れながら補正して正しい咬み合わせを維持しようとするのです。そしてその結果として下の前歯にデコボコが出来ることがあります。こちらの予防策としては成長が終わってから矯正治療を終了することが考えられますが、多少の成長が残っていたとしても問題ありません。ただし、もともと反対咬合の方は身長が止まるのを待ってから治療を終了した方がいいでしょう。

投稿者 ホーカベ歯科クリニック

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