歯科医療の進むべき道とは?

2017年3月 7日 火曜日

歯を抜かずに治すとは。

ー歯科医院に行ったらすぐインプラントを勧められたー
43歳のSさんはある歯科医院で抜歯(歯を抜く)をしてインプラントを入れるか総入れ歯にするしかないと言われました。
その医院では初めから歯を残そうという選択枝はなかったとおっしゃっていました。
歯が全部無くなってしまうという喪失感は、まだ若いSさんにとっては大きなものです。
その思いがせめて歯の根は抜かずに、根の上に入れ歯をのせるということになったそうです。(上段の写真)
しかしこのままではいずれ本当に歯が全部無くなってしまう。
そのことを何とか回避したい。そんな思いで来院されたました。
検査、診断、病状把握の結果、上の前歯はすべて残すことが可能であることがわかりました。
歯周病、ムシ歯、感染根管、咬合(咬み合わせ)などすべての問題を解決し、
やっと40歳代の女性の笑顔を取り戻すことができました。(下段の写真)。
歯科医師の役目の第一は歯や歯周組織の健康を回復し、歯を永く維持していくことです。それが実現できるためには歯科医師の技術と情熱は言うに及ばず、
そのために重要なことは患者さんの協力です。
患者さん自らが歯を悪くしないようにするために行なう日々の予防が最も大事だということを
真剣に動機付け、実際に技術を身につけていただかなくてはなりません。そのために、予防レッスンは極めて大事なのです。
一昨年五月、日本医師会は「日本人の口腔の健康意識は低く、歯周病は糖尿病、心臓病等の原因となり、健康長寿を短くする。
日本人の口の中はバイ菌がいっぱいだ、元気な身体は日頃の口腔ケアーから」と新聞広告で警告していました。「日本医師会」がです。
暗に日本の歯科医に何とかしろと言っているのです。
インプラントが先端医療などと言って歯を物と同じように扱っている限り、日本人の口腔の健康寿命が永くなることは決してないでしょう。




           

抜かれると言われた歯         1本も抜かずにすんだ
     

根の先に病巣(病変)があります
根の中の治療(根管治療)を行い病巣も消失しました。
 
     
歯だって本来、他の臓器と同じように死ぬまで身体に付いていて当たりまえなのです、たとえムシ歯や歯周病になっても早い段階で適切な治療処置予防処置そして正しい歯の手入れをおこなうことができれば、歯が失われるなどということは人間の一生でそうそう起こることではありません。もし癌になっても臓器の全摘出はしたくない、部分摘出にとどめたい。だれもが望むことです。歯を抜くということは歯の全摘出です。少しでも自分の歯として噛めるところがほしい。奥歯の無い(S)さんにとっては前歯だけでも自分の歯として噛める場所を確保したかったのです。私たちは患者さんの年齢が何歳であっても、歯や口の中の状態がどの段階で来られようとも、その時、その人にとっての歯や口の最適健康を回復し、それを永く維持していくことに全力を傾ける努力をすることこそ歯科医師としてもっとも重要な役割と考えています。この(S)さんのようにあきらめから希望へと変わることだってできるのです。
ホーカベ歯科クリニック  歯科医師  波々伯部重俊




投稿者 ホーカベ歯科クリニック

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