歯科医療の進むべき道とは?

2017年10月27日 金曜日

歯周病が今も話題になっています(何十年もの間、減っていない疾患)。

日本人は90%以上が歯周病になっている。
ある統計によると日本の成人の80%以上が歯周病を持っていると言われていますが、正しい検査をして軽度の歯肉炎も含めれば
小児を含めた日本人の歯周病罹患率は90%以上になるでしょう。なぜ日本人はこんなに歯周病が多い国民なのか。
その答えは、日本のこれまでの「治療中心の医療体制」により医療現場でも予防の評価が低く、またその実効性も乏しく、歯科医一人一人の
診療哲学(歯科医は何のために存在するのかという基本的な理念)の欠如と、歯の「健康」に対する
価値観を歯科医が国民一人一人に対して教え、育ててこなかった所以(ゆえん)です。
その結果国民レベルはおろか、歯科医療従事者側においても危機意識がなく、歯周病や不適切な治療で大切な歯が無くなってしまってからの処置である
インプラントのようなものを収入源の第一に考えている歯科医院がふえているのが現実です。国民の歯が喪失していくことは歯科医療全体の敗北であり、
歯科医の無責任の結果でしかありません。

歯周病の進み方の一例としては、歯肉から血が出る(歯磨きのとき、歯周ポケット検査のとき)➨歯肉の腫れ(赤く腫れる)
➨朝起きた時の口のネバネバ感➨口臭➨歯のゆるみ➨歯の隙間・歯が伸びた感じ➨歯のぐらつき・噛めない➨歯が抜ける(或は抜歯)
といった具合に進行します。
[歯周病の段階]
歯周病には歯肉炎の段階と歯周炎(骨の喪失を伴う)の段階があります。その二つがミックスしている場合もあります。
歯ぐきからの出血は歯周病の警告サインなのです。ところが出血すると歯ブラシを当てるのが怖くなりそこを避けるようになります。
しかしかえってその間に歯周病はどんどん進行してしまいます。サインを無視するのは危険です。出血に気がついたら、専門家に
診てもらいましょう。
[歯周病の治し方]
専門家による正しい歯の手入れケアのやり方の指導と患者さんがそれを確実に実行することが一番大事です。歯周病初期の段階なら、
ケアの方法を実行するだけで治すことができます。また、歯を支える歯周組織は栄養環境の良し悪しが大きく影響することもわかっています。
歯科栄養学的なアプローチも歯周病対策として重要な補完材料となっているのです。

歯周病は「歯肉炎」の段階でしっかりと治しておくことができれば一番良いのですが、歯周炎の段階になっても心配することはありません。
歯周病に打ち勝つ方法を患者さんと歯科医の二人三脚で実行していけばいいのです。
歯の健康を守るうえで最も重要な正しいプラークを取る技術(ブラッシングなどの技術)と歯周病を治す治療技術の質、そして何より大事なのが
患者さんも歯科医師も「必ず治すのだ」という強い意志を持つこと
です。それらが伴わなければ歯周病は決して治りません。
自分は歯周病のどの段階にあるのか、歯周病になった直接的原因と間接的要因(生活習慣も含む)は何なのか。ということを
検査をすることによって明確にし、それを患者さん自身が知ることが大切です。医者まかせで治るものではありません。
今,日本では、歯が無くなってから入れるインプラントをやろうとする歯科医が増えています。
「インプラント治療」と言っていますが、インプラントは治療ではありません。インプラントは義歯です。
歯が無くなってから入れる「物」にすぎません。天然の歯にはなり得ないのです。
歯が無くならず自分の歯が一生あり続けることがこそが大事で、そのためにこそ本当に歯を守るための予防や治療をすることが
真の歯科医療の勝利につながるでしょう。
ホーカベ歯科クリニック   歯科医師  波々伯部重俊








投稿者 ホーカベ歯科クリニック

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